中国・上海、2026年4月21日――世界をリードする半導体メーカーであるROHM(本社:京都市)は本日、次世代EcoSiC™「第5世代SiC MOSFET」を開発したことを発表しました。本製品は、xEV(電気自動車)用トラクション・インバータ*などの自動車電動パワートレイン・システムや、AIサーバ電源、データセンターなどの産業機器電源に最適です。

ROHMは、第5世代SiC MOSFETの開発において、デバイス構造の改良と製造プロセスの最適化により、従来の第4世代製品と比較して、パワーエレクトロニクス回路の実際の使用環境で重視される高温動作時(Tj=175℃)のオン抵抗を約30%低減することに成功しました(同耐圧・同チップサイズ条件での比較)。xEV用トラクション・インバータなど高温環境下での使用が求められるアプリケーションにおいて、ユニットの小型化や高出力化に貢献します。

ROHM、第5世代SiC MOSFETを開発!高温時のオン抵抗を約30%低減

ROHM、第5世代SiC MOSFETを開発!高温時のオン抵抗を約30%低減

第5世代SiC MOSFETは、2025年より先行してベアチップのサンプル提供を開始し、2026年3月に開発を完了しました。

また、ROHMは2026年7月より、第5世代SiC MOSFETを搭載したディスクリート製品およびモジュールのサンプル提供を開始する予定です。今後は、製品ラインアップのさらなる拡大とともに、設計ツールの充実やアプリケーション製品設計に向けたサポート体制の強化を図っていきます。

<開発背景>

近年、産業機器分野では、生成AIや大規模データ処理技術の普及に伴い、AI処理などに用いる高性能サーバの導入が加速しています。このようなアプリケーションでは電力密度の向上が進んでおり、電力系統への負荷増大や局所的な需給逼迫が懸念されています。この課題解決策として、太陽光発電などの再生可能エネルギーと給電網などを連携させるスマートグリッドが注目されていますが、エネルギー変換や蓄電時の損失低減が大きな課題となっています。車載分野の次世代電気自動車では、航続距離の延伸や充電時間の短縮に加え、インバータ損失のさらなる低減やOBC(車載充電器)の高性能化が求められています。このように、数千ワットから数百キロワット級の大電力アプリケーションにおいて、損失低減と高効率化を両立可能なSiCデバイスの普及が加速しています。

ROHMは、2010年に世界に先駆けてSiC MOSFETの量産を開始し、早期に車載信頼性規格(AEC-Q101)に対応した製品群を展開。SiCを様々な大電力アプリケーションに広く普及させることで、エネルギー損失の低減に貢献してきました。また、第4世代SiC MOSFETは2020年6月にサンプル提供を開始し、SiCの普及期においてディスクリート製品やモジュールなど多様な製品ラインアップを展開し、現在では世界中の車載機器や産業機器で幅広く採用されています。今回開発した第5世代SiC MOSFETは、業界トップクラスの低損失を実現し、SiCの適用範囲をさらに拡大します。

今後、ROHMは第5世代SiC MOSFETの耐圧やパッケージのラインアップをさらに拡充するとともに、普及期に入ったSiCの各分野での実装を推進し、様々な大電力アプリケーションにおける電力利用効率の向上に継続して貢献していきます。

<主な応用例>

車載機器:xEV用トラクション・インバータ、車載充電器(OBC)、DC-DCコンバータ、電動コンプレッサ

産業機器:AIサーバ・データセンター等の電源、PVインバータ、ESS(エネルギー貯蔵システム)、UPS(無停電電源装置)

eVTOL、ACサーボ

<「EcoSiC™」ブランドについて>

EcoSiC™は、シリコン(Si)を上回る性能からパワーデバイス分野で注目されている炭化ケイ素(SiC)を採用したデバイスのブランドです。ROHMは、ウェハ生産から製造プロセス、パッケージ、品質管理方法に至るまで、SiC製品の高度化に必要な技術を一貫して自社開発してきました。また、製造プロセスにおいては垂直統合生産体制を採用しており、現在ではSiC分野における先進企業としての地位を確立しています。

<用語解説>

*) トラクション・インバータ

電気自動車の駆動用モータは、位相差120度の三相交流で駆動されます。バッテリからの直流電力を交流電力に変換し、この三相交流を実現するインバータがトラクション・インバータです。

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